糖質制限ダイエット中でもお肉は食べてよいのでしょうか?また、食べるとしたらどのような点に気を付けたらよいのでしょうか?管理栄養士が解説します。
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はじめに
基本的な栄養学について知っておいていただくとダイエットもスムーズにいきます。まずは私たちが生きていくのに欠かせない三大栄養素について、“糖質制限ダイエット”の定義・メリット・具体的な方法に、そして最後に糖質制限中の肉との付き合い方についてお話させていただきます。
三大栄養素について
栄養学の基本である三大栄養素について復習したいと思います。
炭水化物
炭水化物とは糖質と食物繊維を総称したものです。
食物繊維というのは人の消化酵素により消化されない難消化性成分の総称で、たくさん摂っても問題がないどころか、むしろ体内にある余計なものを体外へ出してくれる働きもあるため積極的に摂ってほしい食材です。
具体的に食物繊維が多い食材は、しめじ、えのき、えりんぎなどの菌類、レタス・キャベツ・小松菜・ホウレンソウなどの野菜類です。一方で、糖質とは多糖類(でんぷん、オリゴ糖、デキストリンなど)・糖アルコール(キシリトール・エリスリトール・マルチトールなど)・合成甘味料(アセスルファムK、アスパルテームなど)で具体的に糖質が多く含まれる食材は、穀類(ご飯、麺類、パン)・イモ類(サツマイモ・ジャガイモなど)・果物類・菓子類です。
たんぱく質
たんぱく質とは筋肉・骨・血液・ホルモン・免疫物質など体の基幹を作る材料となるものです。動物性と植物性のものに分けられており、具体的には肉類、魚介類、卵、豆腐、豆類などがあります。
たんぱく質は体を構成する重要な栄養素であり、上記の動物性と植物性を1日に両方摂るのが良いと言われているためどちらかに偏るのではなくバランスよく食べるようにしてください。
脂質とは
脂質とは三大栄養素の中で最も1gあたりのカロリーが高く1g当たり9kcslを持つものです。具体的には炒め物につかう植物油、肉や魚の脂身、バター、ナッツ類などに多く含まれます。
糖質制限について
糖質制限の定義と具体策
「糖質制限ダイエットとは単に主食を抜いたらいいですか?」と聞かれることが多いのですが、それだけでは間違いです。もちろん、主食であるご飯、パン、パスタ、うどん、中華麺やじゃがいも・さつまいもなどの類、果物類、そして甘いお菓子を制限することは第一条件ですが、これら糖質を減らす代わりにたんぱく質・脂質などの栄養素をしっかりと摂る必要があります。
日本では、糖尿病治療目的では《1日の糖質摂取量を60g以下、1食あたりでは20g以下》に抑えることが良いと言われています。しかし、美容やダイエット目的であれば《1日の糖質摂取量を130g以下》に抑えるのが国際基準で正しいとされていますので、ここでは1日糖質130g以下に制限するという前提でお話を進めます。
糖質制限のメリット
糖質制限をすることでのメリットは大きく分けて5つあります。
①痩せる
②美肌になる
③精神状態が安定する
④日中の眠気がなくなり集中力が高まる
⑤生活習慣病の予防ができる
②の美肌について、糖質を余分に摂りすぎることで老化物質であるAGE(糖化最終生成物)が生まれこれがしみやしわの原因になると言われています。ですので、糖質制限をすることでAGEの生成が抑えられる上に、たんぱく質をその分しっかり摂ることで肌のターンオーバーも正常化しやすく、結果的に美肌になるというわけです。
③の精神状態が安定するについては、糖質を摂りすぎると血糖値は急上昇→急下降を起こすと言われており、この血糖値の乱高下こそ精神面を不安定にさせます。そこで糖質制限をすれば、糖質摂取自体を抑えてさらにたんぱく質をしっかり摂ることは血糖値の安定に貢献してくれるため、精神状態の安定につながります。
糖質制限中は肉を積極的に食べよう
糖質制限中はむしろ肉を食べよう!?
ここまでで、糖質制限中に肉を食べても良いのか?という質問に対しての答えは、Yesであることがおわかりいただけたでしょうか?復習になりますが糖質制限ダイエットというのは、糖質を減らす代わりにその分たんぱく質や脂質をしっかりと補うことであり、たんぱく質の1つに肉があります。
ですので《糖質制限中にはむしろ肉を積極的に食べよう》という話になりますね。ですが!ここで注意してほしいのが肉に含まれる糖質量や調理法によっては糖質がぐーんと高くなってしまう場合がある、ということです。そこで肉に含まれる糖質量と、糖質含有量が高くなってしまう注意すべき食べ方についても後程お伝えします。
肉に含まれる糖質量について
いざ、「糖質制限中はむしろ肉を食べましょう」と言われても、肉類に含まれる糖質は0ではないはずですね。そこで具体的に牛肉、豚肉、鶏肉に含まれる100g当たりの糖質量についてまとめてみました。
■牛肉(100g当たり)・・・バラ肉0.1g/肩ロース肉0.2g/サーロイン肉0.3g/もも肉0.6g/ひれ肉0.5g/レバー1.9g
■豚肉(100g当たり)・・・肩ロース・ロース・バラ・もも・ひれ すべて0.1g/レバー1.3g
■鶏肉(100g当たり)・・・もも・むね・ささみ0.1g/心臓・砂肝0.1g/レバー0.3g
どうですか?思ったより糖質量は少ないですよね。特に豚肉や鶏肉は糖質制限中に優秀な食材と言えますね。
肉の調理法と糖質量
前項では肉の糖質含有量についてお伝えしましたが、いくら糖質が少ない肉を選んでも調理法によっては糖質含有量が過多となり、せっかく糖質制限ダイエットで主食を減らしても本末転倒になってしまう場合がありますので注意してください。具体的には、揚げ物・味の濃い調理法のもの・肉を食べるときに漬けるタレです。揚げ物の衣はパン粉・小麦粉=糖質です。
ですので、いくら肉が糖質が少ない種類や部位であっても衣たっぷりの揚げ物では糖質過多となる場合があります。また、焼き鳥で甘辛いたれがたっぷりついているものが多いですが、たれ=糖質(醤油と砂糖で作られているため)ですので、食べすぎには気を付けてください。焼肉で、たんぱく質が豊富で糖質が少ない赤身を食べても、糖質たっぷりの焼肉のタレをつけてしまってはよろしくないですね。
そう、すなわち結論としては“肉自体を食べることは問題ないが、調味料や調理法に注意”ということなんです。そうなると、極論としては糖質の少ない肉を茹でて余分な脂を落として塩こしょうで食べるのが一番良いと思います。ですがあまりストイックになりすぎても生活がぎすぎすしてしまうので程よくゆるく気を付けるのが良いのではないでしょうか。
肉を食べたら野菜も食べよう
糖質制限中に肉は食べても良い、とお伝えしましたが肉ばかり食べるのは良くないですね。肉に含まれる飽和脂肪酸は食べすぎると血液をどろどろにすると言われていますし、腸内の悪玉菌を増やす原因にもなりますので、食物繊維がたっぷり含まれる葉野菜(レタス、キャベツ、小松菜、ホウレンソウなど)とあらゆる老化物質を消し去ってくれる抗酸化力を持つ色の濃い緑黄色野菜(にんじん、かぼちゃ、ピーマンなど)もしっかり食べていただきたいです。
まとめ
・糖質制限ダイエットとは主食(ごはん、パン、麺類)やいも類、お菓子を減らす代わりにたんぱく質や脂質を余分に摂ること
・ダイエットや美容向きの糖質は1日130g以下が適切
・糖質制限中に肉は食べてもOK!しかし食べ方や調理法にはご注意
・具体的な肉の食べ方としては揚げ物は×、タレは少なめが◎、塩やこしょうなどあっさりとした味付けが1番おすすめ
・肉を食べたら野菜も食べましょう
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【参考文献】
糖質制限の外食ガイド 著 亀川 寛大
『糖化』を防げばあなたは一生老化しない 著 久保 昭
日本標準食品成分表2015年版


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